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絵画教室アトリエオーブ/画家 今尾則之のブログです。
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梅雨の曇天だと思っていたら猛暑につぐ猛暑、忙しい日々です。
6月は晴れを待ち焦がれていましたが、暑すぎてすっかり秋が恋しくなりました。

さて先だって久々の展覧会ということで鴨居玲の没後30年展に行って来ました。
鴨居玲は亡くなった年の1985年から、5年毎にどこかで展覧会が開かれるという
希有な画家です。

以前ブログでも触れましたが、僕は学生時代に鴨居玲の作品を見て、自分も
絵を続けていこうと思いました。早いものであれから24年(!)、鴨居作品に
まつわる独自のエピソードをいくつかご紹介します。

僕が初めて買った鴨居玲の本は没後5年展の図録です。確か1993年の冬だった
と思います。画集が欲しくて都内の古本屋を探し回り、図録でしたが見つけた時
の喜びは今もハッキリ覚えています。

それから程なくして、ついに大本命の画集「夢候」を古本屋で見つけました。
僕は早る気持ちを抑えながら店の人に値段をたずねると、お店のご主人は
ピースサインをしながらこう言いました。

「20万円」

「ものすげー高けーー!!!」

あの時の何とも言えない悔しさと無力感、あとご主人のちょっと勝ち誇った笑顔、
やはり今もハッキリ覚えています。もちろん画集は買えず仕舞いです。

最初に見た鴨居作品は東京国立近代美術館所蔵の「静止した刻」でした。

初めて作品を見たときは感慨ひとしおで、気合い十分、描かれているものを
すべてを見尽くしてやろうと思い、食い入るように小1時間鑑賞したと思います。

近代美術館での感動の対面のあと、ぜひ他の作品も見たいと思っていた矢先に
ちょうど長崎で姉鴨居羊子との二人展が行なわれることを知りました。
僕は居ても立ってもいられず、思い切って飛行機に乗り、長崎までその展覧会
を見に行きました。

余談ですが、空港に降り立つと初めての長崎は雨だったので、
滞在中はやはり、

「ながさき〜〜ぶあ〜〜〜♫」

というクールファイブのフレーズがずーっと耳奥で鳴り響いていました。

もちろん長崎での展覧会は大満足で、確か2日続けて見に行ったと思います。
そして、このときに主要な作品を見ることが出来ました。

最後に見たのは5年前、横浜で行なわれた没後25年展でした。

あの時も初めて見る作品が多く堪能しましたが、展示作品のなかの一枚に、
どう見てもヴァイオリンかヴィオラを持っている老人の絵に「チェロ」という
キャプションが付けられていました。僕はとっさに間違いだと思って、関係者を
探してそのことを伝えました。すると関係者の方はすでにご存知で「ご本人が
キャンバスの裏にそう書いているのでそのまま記しています」と言いました。

うーん、難しいところです。まさに当のご本人が書いていることですし、確かに
代わりに付けようにもヴァイオリンかヴィオラかも判らない、さらにもし何らか
の意図があって付けた題名だったらエラいことだ、と考えるのも無理もない話
なのかもしれません。

ただ、鴨居玲の作品タイトルを考えるとほとんどがストレートなものですので、
この絵に限って題名に意味を含ませるようなことをするのか疑問が残ります。

端から自分と比べるつもりなど毛頭ありませんが、仮に僕の作品が残る幸運に
恵まれたとき、作品の天地やタイトルを違えたまま人生を終えると、その絵は
ずっとそのまま紹介されてしまうかもしれない、などと要らぬ事を考えさせ
られました。

20年以上の年月が過ぎて僕も心身ともに変わり、絵に対する接し方や感じ方、
考え方もそれなりに変化しました。でも、先日の展覧会で見た鴨居作品は
初めて見た時と変わらぬ輝きを放っていました。



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プロフィール
HN:
今尾則之
年齢:
53
性別:
男性
誕生日:
1971/02/13
職業:
画家
趣味:
古本屋巡り
自己紹介:

東京都生まれ。

1993年 日本大学芸術学部美術学科絵画コース卒業。
2000年 フランス留学 (パリ)

2001年 アカデミー・ド・ラ・グランショミエール在籍

2004年 フランス学士院芸術
アカデミー主催 Paul-louis WEILLERコンクール'04 入選

2006年 帰国
2006年〜08年 デッサン教室講師 (池袋)

2009年 日本芸術センター主催 第3回絵画公募展入選

2010年 個展“La Résonance”
開催 (Gallery 5610/南青山)

2012年 個展“Le Reotur”
開催 (Gallery 5610/南青山)

2009年〜13年 絵画教室講師 (吉祥寺)

2013年 絵画教室 アトリエオーブ開講 (代々木上原)
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[02/09 NONAME]
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